ラウンジチェア・アームのモノ語り
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驚異のディテール
ものの美しさに理屈などありはしないのだが、ここではものづくりに携わる一個人として、又デザインとして、この椅子の話をしてみようと思う。
この椅子を、つぶさに観察していると、ジョージ ナカシマという木匠の人柄が浮かび上がってくる。同時にコンピュータ全盛の時代になっても、この椅子は何故手仕事でしかできないのかも解ってくるだろう。
(写真4)
彫刻のような造形
ナカシマの家具はどの作品も彫刻のようだと思う。
この椅子のアーム側から真横に見た姿が好きだ。ゆったりと湾曲したバックから水平にアームの板がのび、座板との対比の線が美しい。座面にはバックのスピンドル群、アームの板を固定するための2本のスピンドルそして脚。そのすべての角度が微妙に異なることにお気づきだろうか。今時の生産効率一点張りの発想からこんなデザインは決してでてこない。他でも触れるが、これらのディテールは机上のデザインからできるものではない。試作を重ねて完成度を高めていったものだろう。家具は小さな建築だというナカシマの発想が見えてくる。
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