連載「モノ語り」目次

文房シリーズ PCデスク編

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PCデスクとは

PCデスクというものを売っているが、私の知る限りデスクというよりもPCの延長線上で発想された商品が多く、ケーブルの始末は必須条件だが、キーボードのための引出しがついていたり、プリンタを置く棚をセットできたり、およそ学童机の大人用のようなものであったり、事務所むけのデザインでホームユースに向くものは少ない。

自分なりに考えた開発コンセプトは以下の二つだ。

文房シリーズのデスク
インテリアに美しく溶け込む文房シリーズのデスク

普通のデスクであること。

ここでいう普通のデスクとは、文房シリーズはホームユースを前提としているので、居間の片隅に事務所のスチールデスクを持ち込むような事はしたくない。
なるべく、普通のデスクでありながら、PCが使いやすい環境を備えているという意味だ。

インテリアに美しくとけ込み、小さいながらデスクとして美しいアイデンティティをもつ。

二つ目は、最大の課題はコードの山、これをどう解決するか。

自分の経験からするとワイアリング(電源コードのとりまわし)が最大のテーマだ。
だからといって、仕掛け、仕組みは最小限にとどめたい。

コード
デスク下のコードの山

事務所も自宅もPCの置いてあるデスクの下はコードと充電や周辺機器のACユニットだらけ、たこ足というよりミミズの巣のようで、どうしても掃除がいきとどかないから、ミミズの隙間に綿埃だらけということになる。「なんときたない」と仰るかもしれないが、世の中決して自分だけだとは思えない。

文房シリーズのデスク背面
デスクの背面(試作品)

「文房シリーズ」デスクトップの寸法は奥行き45センチ×幅90センチだ。45センチという奥行きは、引出しにすべてを使ってしまうには深すぎる。引出しの奥のスペースをケーブルの始末のために使えるように考えた。
スペースさえあればそれでよいかというと、そうはいかない、使い勝手を考える必要がある。
まず簡単にケーブル類をセットできるためには、開け閉めができる扉がいる。
ただ、この扉は始終開けたりするものではなく、必要な時に最小限機能すればよい。ということで、いろいろと考えたあげく、慳貪(けんどん)に至る。
慳貪(けんどん)と言っても、今の人たちにはなんのことやら解らないかもしれない。ほら「おかもち」の蓋でさ、と言ったところで、こんどは「おかもち」って何ということになる。文字で説明するのは難しいが、上と下に溝が切ってあり、板をまず上の溝に合わせて入れて、下の溝に落とし込んで止める、と言えばわかるだろうか。

文房シリーズのデスク背面の開閉扉
デスクの背面。慳貪(けんどん)の仕掛けを採用した開閉扉

写真を参照して欲しい。
慳貪(けんどん)というのは日本の発明かどうか知らないが、慳貪箱という表現や、とても難しい漢字が存在することから考えると、そうなのかもしれない。
シンプルで使いやすい仕掛けだと思う。
ということで、必要な時に裏蓋をあけて、コードや充電器をセットすることで、床におりるコードは余程沢山の機器を使わない限り1本で済むことになる。
足下はすっきりさわやかだ。

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「文房シリーズ デスク(DESK)」の商品情報は、桜ショップオンラインにてご覧いただけます。

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株式会社古今研究所 代表取締役
稲生一平

アートディレクター、陶芸家
1942年生まれ。大手広告代理店に勤務後に独立。異色のプロデューサーとして活動。
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