連載「モノ語り」目次

OFUDA-DEN(お札殿)のモノ語り

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神棚のデザイン

神棚のデザインと書きながら、とても不思議な表現かもしれないと思っている。多分神棚というものはデザインされた事がないのではなかろうか。
断っておくが、ここでデザインとはなにかという論議は神棚に上げておくことにしたい。

神棚は古来から家内安全、繁栄を祈願して神様を家の中に祀るための社として始まったものだろう。 だから、現在にいたるまで世の中で販売されている神棚は例外を除いて、神社のミニチュア、すなわち神社の模型が基本になっている。
伊勢神宮の社のように、極限のシンプルさと美しさを備えたものは、現代のモダンな空間でもマッチすると思うが、そこに多少の商売気が入るものだから付録の装飾が豪華絢爛にほどこされて、不思議な神棚が出来上がる。

今でも地方の旧家に残る神棚には美術品級の細工がほどこされた巨大な神棚を目にすることがあるが、かつては、競うように神棚を作ったのではなかろうか。

お宮を極限までシンプルにする。

OFUDA-DENのデザインの基本は、お宮を極限までシンプルにすることである。 別な表現をすれば、建築は床と壁に屋根がある。それだけだ。

軒先は檜皮葺のイメージをデザイン
軒先は檜皮葺のイメージをデザイン

床は基礎のイメージと重なって厚く、壁を表現する部分はなんの装飾もないただの壁だ、屋根の表現もシンプルそのものだが勾配にはこだわった。全体のプロポーションと、この屋根の勾配がこれほどに印象を変化させるものだとは思わなかった。
試行錯誤の結果、伊勢神宮の屋根勾配を拝借することにした。やはり美しい勾配だ。 こうして一枚の板を折りたたんだようなデザインのプロトタイプから始まった。

伊勢神宮の屋根勾配
伊勢神宮の屋根勾配
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「OFUDA-DEN(お札殿)」の商品情報は、桜ショップオンラインにてご覧いただけます。

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株式会社古今研究所 代表取締役
稲生一平

アートディレクター、陶芸家
1942年生まれ。大手広告代理店に勤務後に独立。異色のプロデューサーとして活動。
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