OFUDA-DEN(お札殿)のモノ語り
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縁起でもない
試作品の数々 お札止めが丸い棒のものもある
「縁起でもない」という言葉を耳にすることがある。縁起がいい、悪いというのは吉凶のきざしの表現だ。
ごく初期のおふだ殿は、何もない板を床、壁、屋根と折り曲げただけの構造からスタートしたのだが、壁に掛けられた場合には、なにかの拍子にお札が落ちるという可能性があった。コンパクトなサイズも災いしてちょっとした地震でも落ちそうだ。
お札が落ちるというのは、まことに「縁起が悪い」ということになりそうだ。
そのためには、多少の事があってもお札が落ちない工夫が必要になる。こうしてお札止めがデザインされた。
地板と背を組む、あり組の仕口
そして、床と壁のジョイントだ。コストを考えれば、今時はボンドで貼っても十分な強度を得ることは容易だ。 どこかに特別がほしい。なんとなく御利益とはそんなもののような気もしている。 そこで、職人技の極地ともいえる蟻組で組むことにした。制作する桜製作所の職人技をどう見せるかもデザインのうちである。 この部分は、おふだ殿のデザインのクライマックスのような部分で、構造からしても絶対に床が外れることはない。
OFUDA-DENの背中
職人からすれば見せ所のこの最も手のかかる技の仕口は正面から見えない、横からも見えない。
日本の伝統工芸の手仕事の世界には、裏側の美学というようなものがあったように思う。今は機能とコストをつめていくと、商品としてはとても裏側までかまっていられない時代だが、かつては見えない部分でも決して手を抜くような事はなかった。
あり組の美しい仕口の見えるOFUDA-DENの背中は、絶対に外れない床から発想しているのだが、一方では、職人の心意気の復権を少しばかり意図してデザインした。
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